学長就任にあたって

 このたび、令和5年4月1日付けで、国立大学法人山梨大学学長を拝命いたしました中村和彦です。本学は「地域の中核、世界の人材」を基本理念に掲げております。地域とともに発展しつつ特色ある魅力に溢れた大学を目指し、身を粉にして働く所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 近年、急速に変容していく社会情勢(少子化、グローバル化、デジタル化、コロナ等)により、地方国立大学は非常に厳しい状況に置かれています。大学は、学術研究、教育及び地域貢献を通じて課題解決を先導し、社会に貢献する役割を担っています。本学においては、地域の地(知)の拠点として山梨県をはじめとする地域の期待に応え、地域と一体となって発展していくことを使命としています。そのため、第4期中期目標計画(令和4~9年度)では「真に地域の活性化を担い世界で活躍できる大学人を育成する」ことを基本的な目標としています。

私は、この目標を達成するため以下の4つのビジョン(柱)を設定しました。

1.教育改革の推進
 学生の選択肢拡大に向けた他大学との教育連携等強化や内部質保証の実質化に向けた体制(教育実施体制、カリキュラム、学生支援等)を整備するとともに、グローバル化に向けた諸施策などを推進する。

2.研究支援体制の強化
 強み?特色分野の研究や融合研究のグローバル展開はもとより、新たな強み分野の開拓?強化に向け資源の投入を進める。また、全学的な研究力の底上げに向け、制度面の整備や研究時間の確保に向けた対策の実施など、研究支援体制を更に強化する。

3.地域連携等の強化
 地域の直面課題に対応するため、多様なネットワークの活用や新たな連携体制等を構築して取組を加速する。また、地域ニーズを十分に踏まえた人材の育成機能を強化し、地域の活性化を促進するほか、海外学生への支援継続等により国際貢献を推進する。

4.経営基盤の強化、改革の推進等
 経営状況の把握、外部資金の獲得に向けた取組等を強化しつつ、経費節減等の財源確 保策を継承?発展させ、併せて各種改革等を進める。また、運営組織(各学域?附属病院等)と十分な議論をした上で運営に反映する。

 これらのビジョンの実現に向け、構成員(教職員?学生)をはじめ、ステークホルダーの皆様との対話を重視しつつ、様々な意見を吸い上げ各施策に反映し、スピード感をもって実行していきます。前任の島田学長は、大学アライアンスやまなしの創設等による教育改革や経費節減?増収対策、コロナ対応等による地域医療貢献など強力なガバナンスにより、数々の施策を完遂してきました。私は、前学長の取組を規範とし改革精神をもちつつ継承?発展させ、リーダーシップを発揮して上述の4つのビジョンを実現させる所存です。

 私の座右の銘は『至誠惻怛』であります。これは本学卒業生であり、2015年(H27)にノーベル医学?生理学賞を受賞された大村智特別栄誉博士から贈られた箴言で「誠意をもって物事に取り組み、人の心を慮ることで世の中を良くすることができる。そのことが自分の生き様となる。」との意味があります。この言葉を常に胸に抱き、教職員及びステークホルダーの皆様と協力して、教育研究や大学運営の高度化を促進し、さらには、地域社会への貢献を進展させることにより、新たな山梨大学を築き上げていきます。関係の皆様には、何卒ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

2023年4月1日
山梨大学学長 中村和彦