大山拓次 生命環境学部准教授らによるDNA複製に関するタンパク質の構造生物学研究が『Nucleic Acids Research』誌に掲載されました。
生命環境学部 生命工学科 大山拓次 准教授の研究グループは、九州大学(石野良純教授グループ)、長浜バイオ大学(白井 剛教授グループ)と共同で、DNA複製に重要なGANというユニークなタンパク質の立体構造を原子レベルで明らかにしました。この研究成果は国際学術雑誌『Nucleic Acids Research』に掲載されました。
掲載雑誌
Nucleic Acids Research, Advance Access at September 5, 2016
『Nucleic Acids Research』ホームページ
論文タイトル
Atomic structure of an archaeal GAN suggests its dual roles as an exonuclease in DNA repair and a CMG component in DNA replication.
著者
Takuji Oyama, Sonoko Ishino, Tsuyoshi Shirai, Takeshi Yamagami, Mariko Nagata, Hiromi Ogino, Masami Kusunoki and Yoshizumi Ishino
※楠木正巳教授(本学生命環境学部生命工学科)
論文概要
我々ヒトを含む真核生物のDNA複製の初期段階では、MCMヘリカーゼというタンパク質が2本鎖DNAを2本の1本鎖DNAにほどきます。ほどかれた1本鎖DNAのそれぞれに相補的な新しいDNA鎖が合成されることで、DNAは2倍にコピーされます。MCMはCdc45およびGINSと呼ばれる2個のタンパク質因子によって活性化されますが、活性化因子を含め、MCMがDNAをほどく仕組みについてはまだ詳しく分かっていません。
今回、大山准教授らはX線結晶構造解析法という手法を用い、古細菌という生物のDNA複製システムで機能する活性化因子であり、Cdc45と同じ働きをするGANというタンパク質の立体構造を詳しく解析しました。GANは本来DNA修復の過程でDNAを切断する酵素ですが、立体構造解析から、DNA修復においてもDNA複製においても機能することが出来るような「ハイブリッド構造」を持つ、非常に珍しいタンパク質であることが明らかとなりました。
より詳しい解説は生命環境学部のホームページに記載しておりますのでぜひご参照下さい。