修士課程工学専攻1年の榎並裕介さん、高橋正樹工学部助教、小幡誠同准教授の論文が英国王立化学会誌「New Journal of Chemistry」の裏表紙に選出
大学院修士課程工学専攻応用化学コース1年の榎並裕介さん、高橋正樹 工学部助教、小幡 誠 同准教授の論文が、英国王立化学会誌「New Journal of Chemistry」2019年 43巻 8号に掲載され、研究成果を表すデザイン画が同誌back cover(裏表紙)に選出されました。
これは、今回の研究成果の新規性及び発展性が高く評価され、採択されたものです。
髙橋助教は「大変嬉しく思います。より高いレベルの研究成果が出せるよう精進します。これまでご指導いただいた先生方、研究室のメンバーを始めご支援いただいた方々に感謝申し上げます」と述べています。
【論文のタイトル】
A novel approach to white-light emission using a single fluorescent urea derivative and fluoride
(単一の蛍光性ウレア化合物とフッ化物イオンを用いた白色発光を生み出す新たなアプローチ)
【論文の概要】
白色光は様々な色の光が混ざってできています。このことは白色光である太陽光が雨上がりに虹として観測されることを考えると想像しやすいと思います。虹は地球上に届く白色光が空気中の水滴により屈折、反射され異なる色の光に分けられることで生じます。それでは、身近にある照明等の白色光を人口的に生み出すにはどうしたらいいでしょうか?それは虹が発生したことと逆のことをすればよく、様々な色の光を混ぜ合わせれば白色光が生み出せます。この白色光を生み出す技術が照明技術であり、照明技術には発光材料の開発が非常に重要です。筆者らの論文の内容は、複数の色の光が混ざってできる白色発光を、一種類の有機蛍光色素とフッ化物の混合物のみから生みだすことに成功したというものです。通常の有機蛍光色素は一つの色素で一つの色の光しか生み出さないと考えられており、この常識を覆す大変興味深い現象であると言えます。この技術により有機EL照明や有機ELディスプレーなどに使用される複雑な構造を持つ発光デバイスの作成を大幅に簡略化、低コスト化できる可能性があります。
※なお、本研究は、JSPS科研費(JP17K14482)、「物質?デバイス領域共同研究拠点」の共同研究プログラムの助成を受けて行われました。