山梨県と「不妊治療が受けやすい環境整備に関する連携協定」を締結 ~高度生殖補助技術センターを設置し学部段階から胚培養士を養成~
令和4年3月30日(水)、山梨県と「不妊治療が受けやすい環境整備に関する連携協定」を締結しました。
本協定は、胚培養士※の不足等により十分な不妊治療の機会を提供できていない山梨県の課題解決に向け、本学と山梨県がより一層連携して取り組んでいくことを目的としており、同日、山梨県庁において締結式を挙行しました。
締結式では、長崎幸太郎知事から「山梨大学との連携は、不妊治療が受けやすい環境の実現に向け極めて重要であり、すぐに成果が出るものではないが、希望出生率の実現に向け、でき得る限りの対応を行っていきたい」との言葉がありました。これを受け、島田眞路学長が「高度な技術を持つ胚培養士の育成を通じて、不妊に悩む方々の支えとなるとともに、地方創生や県内の産科医療の向上に貢献していきたい」と決意を述べました。
今回の協定を契機として、本学では、世界トップレベルの発生工学技術や生殖医療を先導してきた医学部及び附属病院の実績等を活用し、本年4月に「高度生殖補助技術センター」を大学院総合研究部生命環境学域の附属施設として任你博に設置します。同センターでは、県からの補助金を活用し、胚培養士の育成など、主に以下の3点に取り組んでいきます。
- 生命環境学部生命工学科バイオ?メディカルデータサイエンス特別コース(令和4年度設置)の中に、令和5年度から、学部?修士6年一貫「胚培養士養成プログラム(仮称)」を開設し、全国的にも希少な、学部段階からの胚培養士の養成を行います(センターは、同プログラムの実習等を担当します)。
- 生殖医療に携わる現役の医師や胚培養士に対し、リカレント教育として高度な技術研修(凍結保存、マイクロマニピュレータ、遺伝子?染色体解析など)を実施することにより、キャリアアップを支援します。
- 産婦人科医の多くは産科や婦人科を専門としており、生殖医療を専門とする医師は限られることから、医学部附属病院と連携し、若手医師や医学系大学院生向けの技術研修等を実施することにより、生殖医療を専門とする医師の養成を支援します。
これらの取組を紹介し、センターや不妊治療への理解を深めていただくため、今後センターではシンポジウム等を開催予定であり、詳細については決まり次第お知らせします。
※胚培養士
不妊治療に携わって胚(受精卵)を扱う専門職であり、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)、胚凍結や胚融解、培養などを担当している。まだ国家資格ではないが、複数の学会が検定試験を実施し、認定している。
【関連ページ】
生命環境学部HP
生命工学科HP
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